映画「風立ちぬ」映画館2回目(超ネタバレ)




映画を観た人はこの劇場予告編を観ただけで

胸が締め付けられるような思いをするのではないでしょうか


昨夜2回目を観に行きました

一度見た後ネットや雑誌、録画していた

宮崎駿や庵野さんのインタビューを観て

どうしても、もう一度観たくなったから。


人のレビューなど見ながら

二郎はそんなに薄情だったっけ?

声っていつも役者さんとか身内使うのは承知で見たけど

そんなにひどかったっけ?

と思いながら。





映画館で2回同じやつを観ると

1回目ではストーリー・セリフに集中していたのが

映像や音楽、声に集中できるんですね。

公開初日に観てすぐにブログに書いた時と同じく

今回もほんとうに美しい映画だと思った

雲も山も水も七色に輝いている。


感情がこもっていないなどと酷評されている二郎の庵野さんの声について。

宮崎駿監督が、

庵野は正直に生きてるから、それを作品に出すやつだから(エヴァンゲリオン)

しゃべり方も一番正直だから選んだと言っていましたが、

自分には、監督の言う「正直さ」はよく理解できていないと思うけれど、

二郎はああでなくちゃいけないと思った。


貧困、不況、戦争、東京が壊滅するほどの大震災。

あの絶望の時代、自分たちに時間がないことを承知で

力を尽くして今を生きる人間に豊かな感情表現を求めるなんて。


二郎の声は淡々と静かだけれど、重みがあってそして優しい。


薄情だという声は、主に

・死期が迫っている婚約者より仕事を優先したこと

・結核の菜穂子のとなりでタバコを吸ったこと

このあたりの印象が強かったのでしょう。

タバコについては自分も「ん?」って思いましたけど。


でもね、2人の問題なんです。

菜穂子は仕事をしている二郎の顔を見るのが好きだと言っているし

タバコのくだりだって、

菜穂子が仕事をしている二郎に手を離さないでほしいと

布団の中から手をだしわがままを言う。

二郎はずっとこうしてるから、おやすみと言い、そのあと

「ああ、タバコ吸いたい・・・」

とわがまま言う。

結核もちの患者の隣でタバコなんて!じゃなく、

大切なのは

菜穂子がどう思ったかじゃないんですか?

そこには病気とか関係なく、「ふつうの」夫婦としての姿がある。

タバコはだめだけど吸いたい。一本だけよっていう。

菜穂子はそういう二郎のわがままを、むしろ嬉しかったんじゃないかな。


「ナホコ カツケツ チチ」の電報を受け取って

二郎は泣きながら家を飛び出し、

道中も電車の連結部で人知れず、ノートに大粒の涙をこぼしていた。

そばに寄り添い、優しい言葉をささやき続けることだけが愛じゃない。

たぶん。


カプローニとの夢の共有は必要か?

必要です。

近眼ゆえに、パイロットの夢をあきらめなくてはならなかった幼少期の二郎に

自分も操縦はできないと言い放ち、

しかし飛行機の設計の素晴らしさを教え、美しい飛行機の設計士になる夢へと導く。


ラストシーン、カプローニと共有する夢の中で

菜穂子と再会を果たす。

菜穂子は風のように消え、

カプローニのセリフで物語は終わる。


「君は生きねばならん。その前に寄っていかないか。いいワインがあるんだ。」


真意はわからないけれど

菜穂子も国もゼロも、すべてを失くした二郎を

友人として労っているんじゃないかな


この映画ははたして

愛の話か、夢の話か、友情の話か


ナウシカのころからの付き合いの

二郎の声を演じた庵野さんがインタビューで

「宮さんが今まで、子供向けの映画にするために隠してきた原液みたいなものが

少し出ちゃってる」

という。

僕が思うに、それは、どのシーンかではなく

映画全体に滲み出ている、優しさ、誠実さ、残酷さ、憧憬、

そしてラストのユーミンの「ひこうき雲」の世界もひっくるめて、

物語の中に見え隠れしているのではないでしょうか?
[PR]
by zooey0719 | 2013-08-04 09:20 | 映画とかTVとか | Trackback | Comments(3)
トラックバックURL : https://yudetena.exblog.jp/tb/20812496
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by robi- at 2013-08-14 02:15 x
みなさんお金払ってみているので、
作品を褒めるのも批判するのも自由だと思います。

が、レヴューサイトなんかを観ていて残念に思うのが、
作品の世界を敬う姿勢みたいなものが初めからない方の批判です。
「不自然だ」「あのシーンは必要ない」ときて、
「結局、何が言いたいのかわからない」と片付ける・・・(かなり極端ですが)。
作品のなかに現実の自分達の論理や主観性みたいなものを持ち込んで、
今回の部屋でタバコを吸うシーンのような、
あの何とも愛おしい二人の時間を観客として味わうことがもし出来ないのであれば、
これはとても不幸なことだと思うのです。

Commented by robi- at 2013-08-14 02:15 x
(すみません、長くなったので2つにわけました)

ただ、
ここまでエラそうなことを言っといてアレなんですが、
人はそれぞれ物語に求めているものが違うのかなと思います。
ストーリーの流れが分かりやすく、
気持ちのいい終わり方ならばOKという人もいる。
反対に行間を読むように作品の世界を味おうとする人もいる。
物語に求めるものが異なれば、臨む姿勢も異なる。
本当はそれぞれをフェアにみるべきなんでしょうね。
たぶん僕は頭に血が上りやすい幼稚な人間なので、
特に自分が思い入れが強いことだったりすると
なかなかフェアにみれないのですが(ダメですね)。

何かよくわからないレスになってしまってすいません(汗
でも、作品は本当に素晴らしいですよね。
僕も夏のうちにもう一回観に行こうと思っています。
Commented by zooey0719 at 2013-08-17 09:30
robi-さん
お久しぶりです^^
ほんと賛否両論はなんでもありますが
今回の風立ちぬへの否定派の意見があんまりで・・・
ほんと一言でいうと求めているものではなかったってことですよね。
それならわざわざ批評しなくていいのにって思います。
そんな響かない映画なんかくさるほどありますし。

何かを批判するのは簡単で
重箱の隅をつついて、つっこみどころ(本人たちはそう思ってる)
を見つけては、過激な言葉で批判する。
政治でも何でも一緒ですけどそういう過激な批判は
人を惹きつけるんですよね、虚ろな人々はそういうのに扇動されやすい。
ただ、褒めるっていうのもどうしても主観が入るので難しいですね。
美化しすぎちゃったりしてるレビューを結構観ます。
僕は、誰に賛同を求めるわけでもなく「自分」はこう思った。
っていうことを留めておきたかったのです。

ぜひもう一度観に行ってくださいね^^